1990年代半ばから2010年頃までに生まれた層を指す「Z世代」。アメリカ在住のZ世代である竹田ダニエルが、彼らの消費行動について分析する。
Z世代のファッション・インフルエンサーのアカウントを覗くと、必ずと言っていいほど「thrifting(古着を買うこと)」という単語が登場する。世間では、「Z世代は環境問題に対してコンシャスで、古着を積極的に購入する」というイメージが生まれているが、実際にZ世代のインフルエンサーやTikTokerたちは、こぞって古着のアイテムを身につけ、同世代からの強い支持を得ている。Z世代が古着を買うことに興味を持っているのは、まず経済的な理由として、2007年から2009年にかけての不況期にティーン時代を迎えた人が多いことが大いに影響していると推測されている。コロナの時代に就職期を迎え、膨れ上がる学生ローンを背負わなければならない状況で育ったZ世代にとって、財布に優しい方法でファッションを維持しようとすることは理にかなっているのだ。
さらに、「同調」や「トレンド」に大きく左右されていたミレニアル世代とは異なり、Z世代は「個性」や「自分らしさ」を大切にする価値観を持つことから、他人とは違うファッションを楽しめる古着は、唯一無二のスタイルを探究するための手軽な手段でもある。
たとえば、「Z世代のアイコン的存在」と呼ばれるアーティスト(クライロ、リル・ナズ・X)、「Z世代的な要素を含む」と形容される映画(『ブックスマート』オリヴィア・ワイルド監督、2019年)、「Z世代に人気のファッション」と評される服装(古着ファッション)、それぞれに共通しているのは、ジェンダーやセクシュアリティの流動性を受け入れ、クィア性を作品に落とし込んだり、ジェンダーニュートラルな感覚を取り入れたりするものが非常に多いことだ。自分をどのように表現するかは「自由」であり、常に変化する流動性を持ち合わせているという概念が広く共有されるようになってきている。
セリーヌ Tシャツ スーパーコピー コットンジャージー ロゴ サルキー 2X575501F07OW
◎商品情報
セリーヌ paris triompheプリント
クラシックフィット
ラウンドネック
ショートスリーブ
コントラストリブトリム
◎素材
コットン100
また、古着がより入手しやすくなったことも大きいだろう。Poshmark、thredUP、eBay、Depopなどのアプリの登場によって簡単に売買できるようになったり、リメイクをした古着を販売しているブランドやクリエイターのSNSアカウントなどから直接買ったりすることも可能になった。古着屋に足を運ぶ以外にも、手軽に購入する手段が増えている。
一方で、実際にはZ世代もファストファッションを大量消費していることが問題視されている。環境問題や加速する資本主義に対して大きな懸念を抱いておきながら、目まぐるしく変化するファッショントレンドを楽しみたいZ世代にとって、ファストファッションは敵でもあり、味方でもあるのだ。
YouTubeやTikTokでは、ファストファッションの服を大量に購入して視聴者に見せるという「haul(購入時の体験談や購入した商品の価格などを詳細に説明する動画)」が根強い人気を誇っている。安い服をたくさん買い、さまざまなコーディネートを見せるジャンルの動画や投稿はエンゲージメントが稼ぎやすく、それに影響されてファストファッションのブランドから「ヴィンテージ風の新しい服」を買っている人も多い。
これに対して、若者たちの一部には、「ファストファッションを全員でボイコットし、より価格帯の高いエシカルファッションに全投資することは難しくても、影響力のある個人がSHEINなどの大量生産・大量消費を推奨するブランドで何十着も、何十万円も購入することはよくない」とオンライン上で主張し続けているアクティビストたちもいる。
たとえば、Z世代やミレニアル世代に大きな人気を誇る「@best.dressed」というアカウントがある。bestdressedことアシュリーはYouTubeで380万人のフォロワーをもち、古着ショッピングや「フリッピング」と呼ばれる古着のリメイク動画によって大きな人気を得ていた。しかし、彼女がAmazon Primeとインフルエンサー契約をした瞬間、「ファストファッションを推奨している!これは彼女のアカウントの理念と矛盾しているし無責任だ!」という批判が殺到した。
インフルエンサーやセレブ、またはアーティストやモデルなどの著名人がファストファッションをプロモートするような投稿をすると、ほぼ必ずと言っていいほど、コメント欄でその行動に対する批判を投稿する人が出てくる。なぜ影響力のある人がファストファッションを推奨することがよくないのかを解説しているのだ。
SNSが存在しなかったかつてのように、ブランドや雑誌からトレンドが作られ、上から下へと価値観が流れていくのではなく、このように誰もが「発信者」となれる時代になった。だからこそ、誰もが環境問題に対する「責任者」となり、ファッションに関してより深いディスカッションが行われることが可能になったのだ。
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